ゴメンネ♡  最後のブログって言ったけど今日面白いネタが有ったので!

 

 

 

 

     【鉋削りの"ほぼ"最難関の材】

 

 

 

 


今回の新調宮殿の天井板の荒材写真

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木目が判り良いように少し削ってます。

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左の材の真ん中辺りが"ボコッと起ってる"所をアップで注目!板に仕上げる事を

想像して下さい 笑

      其れと左材の木口に注目、見え難いけど平行に近い木目が見える。

エエ笹杢です!)

 

・材     台湾檜笹杢

・現状寸法   巾 一尺一寸×長さ 六尺七寸×厚み 四分
           (333×202×12㍉)

・仕上り寸法  巾 二尺九寸三分 × 長さ 六尺四寸三分 × 厚み 約二分
(三枚剥ぎ)          (887 × 1948 × 6㍉)

 

 材の台湾檜笹杢ですがご存知かも知れませんが乾燥材です。(笑)
この際厚みは関係無いのかな?  笑 笑!
伐採禁止からぁ〜 ? ?  この板30年経っていてもおかしくないのかな?

  思っクソ "完全乾燥材" と呼べます。

                    カチカチ …

 * 色
残念ながら今回集材した中で最も"赤い"くて台湾檜らしい佇まいと
成ります。


 今回は素木仕上げである為に残念ながら全て刃物仕上げで、ほぼ
柾目の木目を使用しています。

 


      "ほぼ" ?   


本新調宮殿は、軸部内が大変広く四室に別れています。

 是は、現況を踏襲して(現在の祀り方)新調宮殿の中に同じように
御祀りするという志向です。

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現況

 

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新調軸部(柱は丸で、当然の事ながら長押は"真"を考えると回さないとダメなんですけど、

のっぴきならん感じでこの様な納まりに。)

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宮殿軸部平面図

【大唐破風屋根宮殿】(軸部〜)

・四本柱.

・下から〜地長押.腰内法貫.貫虹梁.頭貫.

・柱間装置〜正面六枚双折れ扉(藁座軸回し).脇引き戸(後嵌め殺し)

・太瓶束

・軸部内、外陣/内陣境に柱四本の三間

【補足】  宮殿内部外陣の中壇/下壇に供物を供へる雛壇を
有し、更に雛壇の上壇には、中尊に祖師が来られ、向かって右に
鬼子母神、左に七面大明神が来られる

 ・天井〜 鏡天井/格天井/折り上げ格天井

 ・軸部内柱筋中尊/脇陣に雲の幕下げ彫り

 

 

 

 

 

 


       『 この宮殿は荘厳具です!』

 

 

 

 

 建築の話しで恐縮ですが、近頃では"社寺風"のお寺や神社が、訳の
分かっていない工務店が施工していたりします。

   何が困るか?

        めっちゃ困ります!!!

 宗教施設で有り、宗教装置で有ります!

 

 

    宗教は 『 生きています!』

 

 

例えば、社寺には立派な塀も有りますし立派な門も有ります。
"塀"は、神聖な領域を現す外界からの結界で有りますし、
"門"は、人が通るには立派過ぎます(因みにボクん家にはあんなものは
有りません)、矢張り神聖なる領域に入するという気持にさせる
一つの装置としての役割が有ります。
 そしてアプローチがあり本堂(殿)が有り、礼拝する空間が有ります(外陣/拝殿等)、
浄土系の宗派で有れば内陣は阿弥陀如来様の住まわれる極楽浄土の
世界が再現されています。
そしてその宗派の持つ"道業"にて儀式が執り行われます。


  〈 訳のわからん奴にヤラせると 〜 〉

「これじゃぁ儀式が出来ないぜぇ、あと… 一尺でも広くしてくれたらいいのに …. .. . 」


 "カタチ" ばかりお寺と似ているだけで使い物に成らない  "無用の長物"

ただ、施工者だけが悪いのでは有りません、
合い見積もりで値段の安い所を選んだ"人間"も悪いと思います。
お金が無いのは仕方が無い、僕もお金には困ってるので

気持ちは判るつもりです。

そんな時は一時諦めるか、でも…  絶対やらなきゃ駄目な時も、   …

難しい…   ですけど、   …   . 

 

でも、"荘厳' を重んじる心が無いと感じる時が最も残念です。


     宗教は生きている


「 社寺専門の所にまかせよっ …  
   にわか仕込みの奴に千年以上の歴史は理解出来やしない、
少ない予算でもなんとか知恵絞って専門家にええのんにしてもらおぅ 」
(僕もあんまり分かってないけど …  …  )

 

 

 

  少し. 話し戻ります ♪

書の世界で云う所の 「 真・行・草 」が有ります。
"真"は正格で格式の高い、"草"はくずした風雅の体

 "木"で言うと、 「 真=柾目 草=板目 」 と成ります。

然るに宗教施設の中核に有り、最も尊ばれる荘厳装置としての木目は
"柾目" が相応しくキリッと上品でも有ります。

 

そして中核に有る荘厳の宮殿ですが、中尊と脇ではより中尊を尊ぶモノです、
然るに、軸部内柱の長押位置は中尊が一段高く、背後の向板(背板)
は柾目板と成り、脇は中尊との違いを出す為に "板目" としました。


そして、軸部内の四室の天井の仕様ですが、

・外陣→脇陣→中尊の順で天井の高さが少しずつ高くなる。

(写真二枚目の頭貫〈柱頂部の横の部材〉の内側に、天井高さの違いの

切り欠きが分かる)

・天井仕様
 * 外陣にあたる所を "鏡板"(無地板)
 * 脇陣にあたる所を "格天井"
 * 中尊にあたる所を "折り上げ小組格天井"

世の中に有る"真"の中で最も"真の中の真"と言える空間だと思います。

日本建築はよ〜出来てます(笑)


 でぇ、 中尊の向板(背後の板=背板)は正格の"柾板"

脇陣の向板ですが、タダの板目では「腑に落ちん!」
板目でも「最高の板を…」今回選んだ最高の板目が "笹杢" です。

 更には、軸部外陣天井は、内部に広がりを保たせる為に大空を想起
させる装置として、"雲"をイメージさせる笹杢の天井板をあしらう
事にしました。


 長かったのですが、先程の写真の笹杢の板にはそう言う意味が
込められています。    (話し長いねェ ゴメン…)

 

 

 ただぁ〜
そんな都合の良い板は沢山お金を積んでもあるものじゃ有りません。
台湾檜伐採禁止に成ってから、最も輸入した日本でも残り少なく選べる
ような状態では有りませんし、ましてや現在台湾本国で大きな事業が有り、
本国で台湾檜が無い為に日本の台湾檜をさらえて行っている事も有り
お金も、選材も簡単には行かない現状です、


そんな最中、 奇跡的に見付けてちゃいました♡
二年近く探し求めました、    ラッキー!


 「僕の力では絶対に無い!」と断言します。

 「今回のお仕事の"御縁"の力」と感じます。

「こんな都合よく見付かってたまるかぁ!」と言った感じです。

 


 ただ …  ご覧の通りの  "ぐだぐだ" に反り倒した板 。

コレは本国台湾で製品にしたものらしく、割れ止めに台湾の新聞が
木口付近に貼られていました。(材写真参照)

 更には、日本の管理ではあり得ないのですが、乾燥時の桟積みが
悪く、ズレた桟のカタチに【※極端!】に曲!がっ!!ています!!!

(分かり難いけど材写真二枚目参照)
また、年数が経つため"木"の性が出て捻れています。
当然の事ながら、こごんで"水溜り"の様に窪んだ所が有ります。

捻じれは写真にも写ってる様に平置きで一寸、クランプしないと
一寸五分殆どの捻じれと成ります、  残念な状態です。

コレをまともに真っ直ぐの板に仕上げると五分のニは消滅しそうです。

 

 

 

 改めて予定としては、

仕上り寸法  巾 二尺九寸三分 × 長さ 六尺四寸三分 × 厚み 約二分
           (887 × 1948 × 6㍉)

の一枚板に剥いで、今回は板の中心を1.2分(4㍉)少し強めと成りますが
ドーム状に上げるつもりです。

 

 

 

  "少し強め" というのは?


建築関係の人では無い人にも理解出来る様に書くので回りくどいの
ですが…

 

「目線上に有る横軸の直線は垂れ下がった様に見えます」

 

人間の目の錯覚によって起こるモノで例えば、
 "虹梁" とは建築では横方向の部材と成りますが、上に湾曲した様な
意匠と成ります、この様な意匠のお陰で垂れ下がった様には見えズ
自然に美しく見えてくる工夫です。
そして、是は虹を想起させる事から 「虹の梁=虹梁」としたものです。


 逆に、眼下に見える "靴脱ぎ石" の様な大きな平面は、真っ直ぐ平面に
すると真ん中が窪んだ様に見える事から、やんわりと起こしてあります。 ? 笑
 ? 実は "靴脱ぎ石" 等はこの理由よりも大命題の "水が溜まらない"
と言う理由が有っての事ですが(笑)

 

 錯覚と言えば…
社寺に於ける "軒反り" も工夫が見られます。
軒反りは遠くから観る時には重要なアウトラインですが、
美しく魅せる為に"軒反り"が用いられています
平安時代迄の軒は真反りで緩やかに美しく、どれくらい美しいのかは
平等院鳳凰堂」に行くか、十円玉を見て下さい。
(十円玉は真反りやけど軒反りはややキツイ  ん n … ビミョー )
 然しながら、鎌倉時代からは 真ん中は"真っ直ぐ"で、隅っこだけ反っている
"長刀反り" が採用されており、前代迄の "真反り"では無い為に
隅っこの反りが視覚に入っているせいで、真ん中の直線がキレイに
真っ直ぐで有っても軒の直線が上に隆起している様に見えます、
 更に古く傷みが出ているものは、隅軒に大きな荷重が掛かる為に
やや下がる事が有る為に、拍車をかけて真ん中が隆起した様に成り
「 〜〜 」みたいに成ります。

  あっ、 軒の反りは先程の軒隅の垂れ下がりが起こっても

ホントに垂れ下がったように観えない為が主題と思います。
                   (蛇足でした…)

 

 でぇ、 天井なんですが前述とよく似た人間の錯覚で、真っ直ぐ
直線で天井を造ると"垂れ下がった"様に見えます、
然るに真ん中を少し持ち上げて、 "一間一分" (流派による所が有るのかもしれんけど…知らんけど…)
とか云われたりします。


 今回は少し広がりを保たす為に、"少々強く" しかし「クドくならぬよう!」※重要
"一分強" として "気付き難い柔らかなドーム状" とする予定です。

  どお?  相変わらずメチャ長いねぇ…  (ゴメンナサイ♡)

 

 

 

 


   さて!

 

        今回の材で出来るの?

 


 「台湾檜笹杢」    ぐだぐだのグニャグニャ
    = 材として難削材
       =木目としても最難削材
            =平面でも無い。
鉋仕上げとしては "ワラウ" 笑♬ しか無いかな? (笑)
 板を三枚キチッと剥げるかな?

思った通りの形状に作れるのかな?

   天井の四方周りに隙間出来たらカッコ悪いなぁ〜

 


     楽しそうでしょ♡

 

こんなに棒削りとの違いがある難しい  "クイズ"  は始めて ですけど…

 

 

 

  シッカリと頑張って作戦立てて頑張りまぁ〜する !

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「 僕、 コレれが "板削りと棒削りの違い" だと思ってるんです。」

「 板削りに於いて鉋台長さ九寸五分フル活用って物理的に不可能なんですよ」

 

     
         「鉋台の総丈どれ位が適切と思います?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      

         ホントに最後のブログでした。

 

 


              おしまい!

 

 お世話になりました

https://youtu.be/7HFlGJ0_u1g