御大からの手紙  

 

 

 

   来た …

 

 

 

 

実は頂いたの結構前なんですけど、つい最近御礼状を送りました…
すると、
     その、
         駄礼状への返事の、カッコイイ絵葉書がこないだ届いた …

僕とは違う感じの丁寧さと達筆、 

 

 

 

 

 

 

 

 

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予想外に「御大様から来る!」
其れも『鉋名称典』について " ガッツリ "ちゃんとした御手紙が


正直、誰から来ようが有り難い事には変わりないんですけど、
"僕のような何処の馬の骨か分からんヤツ" に、丁寧に感想や指摘や他諸々とか…
 小生の為に時間を割いて頂き、シッカリと記事についてのお応えを
頂けて御勿体無く感激でございます ます。

実はあんまり存じ上げて居ないのですが、削ろう会誌ではお馴染みの方で、
香川棟梁様と云う御大で、誌面では興味深い内容の記事を書いて居られ、
削ろう会では新参者の小生てすので、過去の記事は知らなかったのですが
事務局の方にアーカイブ等が拝読出来る事を小耳に挟み、拝見させて頂いたら
めっちゃ面白かった。 
↓コレ

http://www.hand-made-home.com/daiku/daiku.html

何が面白かったって、「何でココの抜粋やねん!」と言われそうですけど…

世話になったのに無断転載です…

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 もう三十年も前のことであるが、旧家の倉の屋根葺き替えと外壁の修理と内部の座床の張り替えを依頼された。工事にかかる前、施主から大安吉日の日を定めて工事にかかるよう指示を受けた。早朝、現場に行くと隣家の古老が私に向かって「棟梁、今日は朝から天気も良し日も好しだから娘の帯ほどきを始めるのかよ」と言った。そして「大工にかかったらお堅い娘も文句なしか」とも言うので、その訳を聞き質した。古い昔から白壁で固く塗り固めた倉を娘と表現し、固い扉を文句なしに開かせて中を見るのを帯ほどきと言うのだそうだ。もう消え去ろうとする古老の話であった。

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此れは「勾配の話」と言う中の抜粋なんですけど、  どう?   (笑)
「何でここやネン!」ですが、この「話し」建築の枠を越えて、
その土地の文化や気風、可愛らしさ、大袈裟ではなく日本の民俗学的な一面を
垣間見させて頂いたような気持ちにさせて頂きました。
  短い文章てすけど情景は僕に届き、
此のエピソードの紹介が無ければこの様な気持ちは生まれなかったし、
「日本人の洒落心エピソード」が伝わる訳も無いし、
このエピソードの紹介が有って凄く良かった!
 建築の話しで有りながら、このエピソードを盛り込まれた香川様の
お人柄が忍ばれます。  

            ナイス棟梁!   様


まぁ、 ちゃんと書くと、この前後の文章がまた凄いオモロイ!
リアルに勉強に成るし、「蔵ってイカツイなぁ〜」と関心する内容てす。

 

 現在御年87歳との事、
死ぬ前にドンドンこんな為に成るお話しを吐き出して頂きたい!
長生きして、僕らのご意見番として、欠いた御知恵を授けて頂きたい!!!
一応拙い御礼の手板を送らさせて頂いたんですけど、
今後も僕の知恵袋として存在して頂きたく願い、4.50年程の生存願い
を申請しておきましたので、皆様もご安心あれ!
出来れば僕の葬儀に参列して頂ければ満足なのですが、香川県と京都
では少し遠方となるのであまり無理を言えませんね(笑)

  

 

 

 

   末永く宜しく御願い致します!  香川棟梁様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ…

 

〈手板の補足として、僕からメールを送らさせて頂いたモノの抜粋です〉

 

 

 

 

 

 


 鉋のはじまりについてですが、何時から鉋が有ったのか?
此れについてですが、その前に「鉋の定義」が必要と成りますが、
今の僕には浅学で定義付け出来る程多くを語れないのですが、
鉋と呼ばれるモノは、「槍鉋、台鉋、轆轤鉋(木工/陶芸)」??でしょうか?
槍鉋では表面仕上げで、台鉋は、ある程度の整形能力が有ると思います。
轆轤鉋も台鉋の役割としてよく似ていて、整形と仕上げが出来ると思います。
この事から共通している事を考えると、「鉋とは表面仕上げに近い加工を行う道具」
という事なのでしょうか?

この事を考えると、仏教伝来以前の板表面加工はどの様な表面仕上げだったのでしょうか?
屋形埴輪等観ると、板が使用されているように想像するカタチが見受けられます、
おそらく木材の埋蔵遺物が残っていると思うのですが、残念ながら調べて居ません。
槍鉋も何時から有ったのか知りません。
古墳時代にはおそらく有ったとは思いますが、コレまた調べて居ません。
チョウナは、古墳時代に"上等な"全鉄製の素晴らしいモノと、櫃穴の開いた玄能が
東京国立博物館に展示されて有りましたので、鍛冶技術は驚く程精巧なモノを
作る事が出来ていたと思います。
↓ココに少し写真が写っています。
http://shitekiongaku.hatenadiary.jp/entry/2017/02/21/213719

 僕にとって身近に写真や実物で"鉋"を感じるのは、「正倉院宝物」です。
刃物を固定して "定規当り面" (台鉋でいう台下端)を利用した道具で無いと
あれ程に精緻な加工は難しいように思います。
スクレーパーの様に刃物を手に持って加工するには、少し難しいように思いますし、
我らの先輩は、この頃既に相当な木工技術を持って居られた事は間違い無いですし
 持論ですが、木材の扱い方は"ほぼ"この時代にやり尽くしている感が有ります。
正倉院宝物を観るだけで、あの平滑面等を作り上げる道具が最低でも天平時代には
存在していたように感じます。


 実際の道具は想像するしか無いのですが、少し面白そうな話しが有ります。
結構前の事ですが、東京芸大の時代判定人??みたいな人と喋る機会が有りました。
全国から出て来たよく分からないモノを調べ、博物館等の表に出す前のモノを
扱うのが仕事のようです。
僕が職人である為に、色々な話しをしてくれました。
 
その方の話しの一つが、「東大寺大仏殿の屋根裏から出て来た道具が有る」と言う話で、
其れは、箱に二つ入っていて、一つは話の内容から、おそらく"臼"等を彫る
チョウナと思われます。
もう一つが難解で鉋台程の大きさの檜材にほぼ直角程に鉋刃の様な"刃"と思われるモノが
鉋の如く仕込まれ、  、 、  しかし鉋屑の吐き出し口は全く無く、
「鉋の吐き出しが無いモノ」と言う話しでした。
更に色々問い詰めて見ました。
Q. 「箱に何か紐のようなモノで閉じてあった?」
A. 「有りました、」
Q. 「其れはいつ頃の紐のようでした?」
A. 「奈良時代の文様であった」
Q. 「鉋の様なモノへの付着物は?」
A. 「楠の微細な屑」     
Q. 「放射性炭素年代測定やりました? … やってるに決まってますね(笑)」
他にも結構聴いたのですが忘れました。
しかし、「時代は奈良時代で、台は檜、楠を削った痕跡?、鉋屑排出機能無し」
一目でも写真を見たかったのですが叶いませんでした。

 どうでしょう?    

ただ、この話しが無くとも僕には正倉院の木製品は何かしら?"鉋に近い道具"で
加工したように思えて成りません。

 

 

 話しは変わりますが、鉋の頭のカタチはどの様な形状が使い易いと
お考えでしょうか?
 正直ハッキリと答えが出ていません… 
頭のカタチ以前に、「鉋刃は軽い方が使い易い」と言う考えが有ります。
理由は、「削り仕事が多い時に疲れない」(笑)
だから僕は半分位ちびた鉋が、台も薄くし易く軽くて使いやすいです。
 こんな事から、綿帽子の様に大きい頭は好みでは有りません。
(しかし、"刃の左右の出"の調節には有効だと思います)

『僕の求める鉋頭のカタチは?』
⚫左右の刃の出の調節が容易
⚫必要最小限に小さい(目次氏の鉋は、研ぎの事も考え軽くしている)
⚫少し手を添えても、手当りが良い
この様な条件です。

少し考えてみると、
〈もし、真っ角の頭形状で有れば?〉
メリット 〜 最後まで使い切る時まで押さえ溝に効いて、刃の片出修正が行い易い。
デメリット〜 頭がマクレて特に頭の真ん中が凹んだようになり易い?
       (しかしそうなったとて、他の鉋も同じ運命を辿るので問題無い)
       手のひらに刺さって痛い(一度試してみたら刺さりました…  痛っ〜)
デメリットを補う緩やかな曲線の鉋が使い易いのかな? と思って居ますが
ハッキリとした好みの曲線を出していません。 
 「どんなのが良いのかなぁ〜」(笑)  と、思って居ます。

 

立て続けに恐縮ですが
「鉋刃の背抜きについても良く理解出来ていません」
此れは凄く勉強不足で、背抜きの抜き方が違うものをシッカリ検証して居ない
のですから、問えた義理では御座いません…
最低でも、〈背抜き無し(平面)、普通の背抜き、深い背抜き〉と三種の使い分けを
しなければ、鈍感な小生にはシッカリとした確認は、出来そうに無いなと感じておりますが
邪魔くさいのでやっていません。
"背抜き"は、「鉋刃が左右に振れ難い」と聴いた事が有りますが、
そんなに重要な事なのか余り理解出来ていません。
 他に背抜きの理由はあるのでしょうか? 分かりません…

上記の事等も含め何かと分からない事が多いのですが、
今、一番気になっている事が次回の削ろう会誌の記事でも書いている
鉋刃個体性能の簡単な判断方法です。
何かお気軽な検出方法は無いか?と考えて居ます。

 

 其れと本題となる、『鉋名称典』ですが…
こんな事は余り言えないのですが… 「名前などどうでも良い!」
と考えています。 (笑)
「職人は仕事が出来てなんぼ!」と言う考えが強いです、
然しながら、鉋仕立て等、電話等で伝える事が難しいので、名前を
付けてみました。
記事にも書いている通り、名称が多いのか少ないのか全く分かって
居ませんが、現状は足りなかったり、不必要かな?と思うモノが
含まれます。
しかし僕の中で『鉋名称典』は、会員様方々への「問題提起」と言う側面が強く有ります。
「名前は命」、意味が存在した時に生まれる「命名」である為
僕が付けた名前は、「一つ一つに意味と機能が存在している」と考えて居ます。
この度の各部名称は、殆どに於いて「意味を確認した」事で名付けを
行いました。
然しながら僕如きではまだ見落しが有ると思います(笑)

 其れと… 残念ながら「鉋大全」は、拝見しておりません。
どれだけの名称の違いが有るのか何れ確認したいと思います。

 


 削りに於いてですが …
腕が悪く…  大変苦労? ?  特に杉板笹杢が上手く削れません、 残念です。
鉋境の段差「けちりん」(鉋マクラと呼んだりもします)の処理能力がまだまだ  "あまい"
ツヤも "ムラ" が有り、台擦れも気になります。 結果、 仕事の悪いまま納品しています。

     「職人として失格です!」